うつ病のように気分が落ちているのに、極端に調子がよくなって活発になる時期がある場合は、双極性障害(躁うつ病)の可能性が高いです。
躁うつ病では、ハイテンションで活動的な躁状態と、憂うつで無気力なうつ状態を繰り返します。
躁状態になると、眠らなくても活発に活動する、次々にアイデアが浮かぶ、自分が偉大な人間だと感じられる、大きな買い物やギャンブルなどで散財するといったことがみられます。
躁状態ではとても気分がよいので、本人には病気の自覚がありません。そのため、うつ状態では病院に行くのですが、躁状態のときには治療を受けないことがよくあります。しかし、うつ病だけの治療では双極性障害(躁うつ病)を悪化させてしまうことがあります。もし自分が鬱の症状が出ているのに、やたらテンションが高くなったり気分の浮き沈みが激しいなと感じる場合は、躁うつ病を疑ってみましょう。本人だけでなく、周囲の人も、日頃の様子や気分の波を見守り、躁状態に気づくことが大切です。
うつ病の症状を確認する。
「双極性障害」とは
双極性障害は、気分の落差が激しい
双極性障害は、躁状態とうつ状態をくりかえす病気です。気分の波は、誰にでもあります。幸せな時は、幸せを感じるし、嫌なことがあった時に落ち込んだり、楽しいことがあった時はウキウキしたりするのは、ごく自然なことで病気ではありません。しかし、その感情の起伏が激しすぎたり度が超え家族や周りの人が困ったり社会的信用を失うほどであったら、双極性障害を疑ってみましょう。
「双極性障害」と「うつ病」は違う
「双極性障害」は、「躁うつ病」と言われていることもあり、うつ病の一種と誤解されがちでしたが、実はこの二つは異なる病気で、治療も異なります。
100人に1人
日本における双極性障害の患者さんの頻度は、重症・軽症の双極性障害をあわせても0.4~0.7%といわれています。1,000人に4~7人弱ということで、100人に10人弱といわれるうつ病に比べると少ないです。
双極性障害で困ること
躁状態の時は現実離れした行動をとりがちになります。本人は気分がいいが無意識に周りの人を傷つけ、無謀な買い物や計画などを実行してしまいます。再発しやすい病気なので、こうした躁状態を繰り返すうちに、家庭崩壊、失業、破産などの社会的損失が大きくなっていくこともあります。また、うつ状態はうつ病と同じように死にたいほどの重苦しい気分におしつぶされそうになりますが、躁状態の時の自分に対する自己嫌悪も加わり、ますますつらい気持ちになってしまいます。
こうした躁とうつの繰り返しを治療せずに放置していると、だんだん再発の周期が短くなっていきます。双極性障害の厄介なことは、躁状態だと本人は気分がいいので治療する気にならないことが多く周りの人が気づいて早めに治療を促してあげたりして異常な状態であることを気付かせてあげることが大切です。
双極性障害のサイン・症状
このような症状がありうつ状態もある場合は、早めに相談しましょう。
躁状態のサイン
- 睡眠時間が2時間以上少なくても平気になる
- 寝なくても元気で活動を続けられる
- 人の意見に耳を貸さない
- 話し続ける
- 次々にアイデアが出てくるがそれらを組み立てて最後までやり遂げることができない
- 根拠のない自信に満ちあふれる
- 買い物やギャンブルに莫大な金額をつぎ込む
- 初対面の人にやたらと声をかける
- 性的に奔放になる
うつ状態のサイン
- 食欲がない
- 性欲がない
- 眠れない、過度に寝てしまう
- 体がだるい、疲れやすい
- 頭痛や肩こり
- 動悸
- 胃の不快感、便秘や下痢
- めまい
- 口が渇く
その他のうつ病の症状についてはこちらを参照ください。
双極性障害の治療法
双極性障害の治療には薬による治療と心理社会的アプローチがあります。
双極性障害は、躁状態の時と、抑うつ状態の時と、症状が安定している維持期において治療法に違いがあります。主に用いる薬は、気分安定薬や非定型抗精神病薬となりますが、症状が多様な双極性障害は特に薬の使い分けが難しく、主治医によく相談して治療を受ける必要があります。
また、双極性障害に必要な心理社会的治療は、カウンセリングだけでなく本人が自分の症状を知り、それを受け入れ、自らをコントロールすることを援助する心理教育が重要になります。
まとめ
双極性障害は、うつの状態だけでなく躁の状態もあり自分で、自覚するのが遅くなり、社会的信用を失った後などに自覚することも多々あります。そのような状況になる前にうつ状態だけでなく躁状態に当てはまる行動をしてしまっているなと感じる場合は、自分の現在の状態を話せる人を作り躁状態の過度な行動を取りそうになった時に気付いてくれる存在がとても重要になります。もし今の自分が双極性し障害の症状に当てはまると感じるが誰にも話すことができずに苦しさを感じている場合は、カウンセリングを一つ手段としてお使いください。
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